日々のサービス契約を考える：環境・社会に優しい選択のポイント
はじめに：サービス選びも「つかう責任」
私たちは日々の生活の中で、様々なサービスを利用しています。電気やガス、通信、金融、交通など、目に見えないサービスは、暮らしを支える上で欠かせないものです。
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」と聞くと、つい商品の購入や廃棄といった「モノ」に意識が向きがちかもしれません。しかし、実はこうしたサービスを選ぶこと、つまり「サービスをつかう責任」も、私たちの社会や環境に大きな影響を与える重要な行動の一つです。
サービスは提供する企業の活動全体と深く結びついています。例えば、電力会社であれば発電方法、通信会社であればネットワーク設備の環境負荷、金融機関であれば融資先の事業内容など、サービスの背景には企業独自の取り組みや影響があります。
この記事では、普段あまり意識しないサービス契約について、環境や社会に配慮した賢い選択をするためのヒントをご紹介します。
なぜサービス選びがSDGs12につながるのか
サービスを選ぶ行動は、そのサービスを提供する企業を経済的に支援することにつながります。私たちが環境や社会に配慮したサービスを選ぶことは、そうした取り組みを行っている企業を応援し、「持続可能な方法でサービスを提供する」という企業の「つくる責任」を後押しすることになります。
逆に、環境負荷が大きいサービスや、社会的に問題のある活動に関与している企業のサービスを選んでしまうと、意図せずそれらの活動を間接的に支援してしまう可能性もゼロではありません。
このように、私たちのサービスを選ぶという一つ一つの行動は、企業や社会全体の方向性に影響を与える力を持っているのです。
具体的なサービスと環境・社会に優しい選択のヒント
では、具体的にどのようなサービスで、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。いくつか例を挙げてご紹介します。
電力会社
電気は日々の生活に不可欠なサービスですが、発電方法によって環境負荷が大きく異なります。火力発電はCO2を多く排出しますが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーはCO2排出量が少ない発電方法です。
- 選択のポイント:
- 再生可能エネルギー由来の電気を積極的に扱っている電力会社を選ぶ。
- 契約プランに再生可能エネルギー比率やCO2排出量に関する情報が含まれているか確認する。
- 地域の新電力会社の取り組みを調べる（地産地消型の再生可能エネルギーなど）。
通信会社
スマートフォンやインターネットなどの通信サービスも、基地局の電力消費や機器の製造・廃棄などで環境に影響を与えています。
- 選択のポイント:
- 企業のウェブサイトなどで、環境負荷低減の取り組みや再生可能エネルギー利用に関する情報を確認する。
- 古い端末のリサイクルプログラムを提供しているか調べる。
- フェアトレードや人権に配慮した部品調達を行っているかなど、社会的な側面の情報も可能であれば調べてみる。
金融機関（銀行、証券会社など）
私たちが預けたお金は、金融機関を通じて様々な企業やプロジェクトに融資・投資されます。その融資・投資先が環境破壊につながる事業や社会的に問題のある事業でないかどうかが重要になります。
- 選択のポイント:
- 責任投資（ESG投資：環境、社会、ガバナンスを考慮した投資）に積極的な金融機関を選ぶ。
- 企業の倫理規定やサステナビリティ方針を確認する。
- 再生可能エネルギープロジェクトへの融資や、地域社会への貢献活動などを行っているか調べる。
無理なく実践するためのポイント
サービス契約は一度行うと、長期間にわたって利用することが多いものです。また、選択肢も多く、すべての情報を把握するのは難しいと感じるかもしれません。そこで、無理なく実践するためのポイントをいくつかご紹介します。
- まずは「知る」ことから始める:
- 現在契約しているサービスの提供会社が、どのような環境・社会への取り組みを行っているか、企業のウェブサイトやCSR報告書（企業の社会的責任に関する報告書）で調べてみましょう。
- ニュースやインターネットで、サステナビリティに積極的な企業に関する情報を集めてみるのも良いでしょう。
- 契約更新や見直しのタイミングで検討する:
- 全てのサービスをすぐに切り替える必要はありません。引っ越しや契約期間満了など、契約を見直すタイミングで、他の選択肢と比較検討してみるのが現実的ですましい方法です。
- できることから一つずつ試す:
- 例えば、まずは電力会社だけ調べてみる、次にスマートフォンを買い替える際に企業の取り組みも比較してみる、というように、関心のある分野や取り組みやすいサービスから始めてみましょう。
あなたの選択が社会を変える可能性
一人一人のサービス選びは小さな一歩に過ぎないかもしれません。しかし、多くの人が環境や社会に配慮したサービスを選ぶようになれば、それは市場全体に影響を与え、企業の行動を変える大きな力となります。企業は消費者のニーズに応えるために、より持続可能なサービス提供へとシフトしていくでしょう。
また、責任あるサービスを選択することは、自分自身が持続可能な社会の一員として、その実現に貢献しているという実感にもつながります。
まとめ：サービス選びから始める責任ある消費
今回は、普段意識しにくいサービス契約にも「つかう責任」が伴うこと、そして環境や社会に配慮したサービスを選ぶことの重要性についてご紹介しました。電力、通信、金融など、様々なサービスにおいて、提供企業の取り組みを調べ、責任ある選択をすることが、持続可能な社会の実現につながります。
全ての情報を把握したり、すぐに完璧な選択をしたりする必要はありません。まずは、ご自身の利用しているサービスに少しだけ意識を向けてみること、契約を見直すタイミングで環境や社会への配慮を考慮に入れてみることなど、無理のない範囲でできることから始めてみてはいかがでしょうか。
あなたのサービス選びが、より良い未来をつくる一助となることを願っています。