賢い食品の選び方:「つかう責任」を意識するヒント
私たちは日々、様々な食品を選び、消費しています。この当たり前の行動が、実はSDGsの目標12、「つくる責任 つかう責任」と深く繋がっていることをご存知でしょうか。食品の生産から消費、そして廃棄に至るまでの過程は、環境や社会に大きな影響を与えています。
SDGsに関心はあるものの、具体的に何をすれば良いか分からないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。特に食品の分野は選択肢が多く、何に注目すれば良いか迷うことも少なくないでしょう。この記事では、難しく考えすぎず、毎日の食卓から無理なく始められる「つかう責任」を意識した食品選びのヒントをご紹介します。
なぜ食品選びがSDGs12と関係するのでしょうか
私たちが普段食べている食品は、どこで、どのように作られ、どれくらいの距離を運ばれてきたのでしょうか。そして、私たちの手元に届くまでにどれだけの資源やエネルギーが使われているのでしょうか。食品の裏側にあるこうした「つくる責任」のプロセスは、環境負荷や生産に関わる人々の労働環境に直結しています。
そして、消費者である私たちの「つかう責任」は、どのような食品を選ぶかという行動によって果たされます。持続可能な方法で生産された食品を選ぶことは、そうした取り組みを行う生産者を応援し、市場全体の流れを変える力にもなり得ます。逆に、環境や社会に配慮されていない食品を選ぶことは、意図せずともその現状を追認することにもつながります。
食品に関するSDGs12の課題としては、世界的な食品ロス、生産過程での水質汚染や温室効果ガス排出、そして不当な労働条件などが挙げられます。これらの課題に対し、消費者としてできる具体的な行動が「賢い食品の選び方」です。
毎日の食卓から始める賢い食品選びのヒント
ここでは、日常生活で簡単に取り入れられる食品選びのアイデアをいくつかご紹介します。
1. 地産地消・旬の食材を選ぶ
地元で採れた農産物や、その時期に旬を迎える食材を選ぶことは、輸送にかかるエネルギーやCO2排出量を減らすことにつながります。また、地域の農業や経済を支援することにもなり、食料自給率の向上といった側面も持ち合わせています。旬の食材は栄養価も高く、美味しく食べられるというメリットもあります。
2. 環境認証やフェアトレード認証のある食品に注目する
パッケージに特定の認証マークが付いている食品があります。例えば、有機JASマークは日本の有機農業基準を満たしていることを示し、レインフォレスト・アライアンス認証やASC認証、MSC認証などは、それぞれ環境保全や労働者の権利、持続可能な漁業といった基準を満たしていることを示しています。フェアトレード認証は、開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を支援するための基準です。
これらの認証マークが付いた食品を選ぶことは、生産過程における環境や社会への配慮を支援することになります。全ての認証マークを覚える必要はありませんが、気になるものから少しずつ調べてみるのも良いでしょう。
3. 過剰包装の少ない食品や量り売りを選ぶ
プラスチックなどの包装材は、製造時や廃棄時に環境負荷を生じさせます。必要以上の包装がされていない食品を選んだり、量り売りを活用してマイバッグやマイ容器を利用したりすることは、廃棄物を減らす直接的な行動です。最近では、環境に配慮した素材を使った包装や、リユース可能な容器を採用するお店も増えています。
4. 未利用魚や規格外の農産物を活用する
形が不揃いだったり、大きさが基準外だったりするだけで流通に乗らない「規格外」の農産物や、市場価値が低いとされて捨てられてしまう「未利用魚」があります。これらは味や品質には問題ないものがほとんどです。こうした食品を積極的に選ぶことは、食品ロス削減に貢献し、生産者の努力を無駄にしないことにつながります。最近は、規格外品を扱う直売所やオンラインストアも増えています。
5. 植物性食品を意識的に取り入れる
肉類や乳製品の生産は、飼料の生産や家畜のゲップなどにより、土地利用、水消費、温室効果ガス排出といった点で環境負荷が大きいとされています。ベジタリアンになる必要はありませんが、週に何回か植物性食品を中心にした食事を取り入れたり、代替肉を選んでみたりすることは、畜産由来の環境負荷を減らすことにつながります。
実践する上でのポイント
これらのヒントをすべて一度に実践しようとすると、負担に感じてしまうかもしれません。大切なのは、「できることから、できる範囲で」始めることです。
- まずは一つのヒントに絞って試してみる。
- 普段よく買う食品で、認証マークが付いているものがないか探してみる。
- 週に一度だけ、地元の農産物直売所に立ち寄ってみる。
- 買い物の前に冷蔵庫をチェックし、必要なものをリストアップするなど、食品ロス対策と組み合わせて考えてみる。
このように、日々の習慣に少しずつ変化を加えていくことが、継続するための鍵となります。
私たちの選択が未来をつくる
私たちの毎日の食品選びは、単に今日の食事を決めるだけでなく、地球の環境や世界のどこかで暮らす人々の生活に影響を与えています。一人ひとりの小さな選択が集まることで、持続可能な生産と消費のあり方を社会全体で実現していく力となるのです。
今日からあなたの食卓に並ぶ食品に、少しだけ意識を向けてみませんか。その一歩が、「つかう責任」を果たす大きな一歩となるはずです。