「つかう責任」を意識した、賢い買い物のヒント
はじめに
私たちは日々、さまざまなモノやサービスを「買う」という行動をしています。この「買い物」は、私たちの生活を豊かにする一方で、無意識のうちに環境や社会に影響を与えていることも少なくありません。SDGsの目標12には、「つくる責任、つかう責任」が掲げられており、これはまさに、私たちの生産や消費のあり方を見直そうという呼びかけです。
特に「つかう責任」は、私たち消費者一人ひとりの行動に深く関わっています。賢い買い物は、単に価格を比較することだけでなく、そのモノがどのように作られ、どのように使われ、そして最後にどうなるのか、という一生(ライフサイクル)を考えることから始まります。この記事では、「つかう責任」を意識した、無理なく日常生活に取り入れられる賢い買い物のヒントをご紹介します。
SDGs12「つかう責任、つくる責任」とは?
SDGs(持続可能な開発目標)の目標12は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。これは、限りある地球の資源を守りながら、将来の世代も豊かに暮らせるように、モノの作り方(つくる責任)と使い方(つかう責任)を変えていこう、という考え方です。
「つかう責任」は、消費者としての私たちの役割を示しています。これは、ただモノを消費するのではなく、環境負荷の少ないモノを選んだり、モノを大切に長く使ったり、不要になったモノを適切に処理したりすることを含みます。私たちが意識して買い物や消費行動を変えることで、「つくる責任」を担う企業や生産者にも良い影響を与えることができます。
「つかう責任」を意識した賢い買い物のヒント
では、具体的にどのようなことを意識すれば、「つかう責任」を果たしながら賢い買い物ができるのでしょうか。ここでは、いくつかのヒントをご紹介します。
1. 本当に必要か立ち止まって考える
買い物の前に、「これは本当に必要か?」「すでに持っているもので代用できないか?」と一度立ち止まって考えてみましょう。衝動買いや安易な買い控えは、不要なモノを増やし、結果的に資源の無駄遣いやごみにつながることがあります。少し時間を置いて冷静に判断することが大切です。
2. 長く使える品質のモノを選ぶ
すぐに壊れてしまうモノよりも、修理しながらでも長く使えるように、耐久性のある素材やしっかりとした作りのモノを選ぶようにしましょう。最初は少し高価に感じられるかもしれませんが、買い替えの頻度が減るため、長期的に見れば経済的であることも多く、資源の節約にもつながります。購入時に保証期間や修理サービスの有無を確認するのも良いでしょう。
3. 環境や社会に配慮した製品を選ぶ
製品には、製造過程や素材において環境への負荷を減らす工夫がされていたり、生産者の労働環境や権利に配慮されていたりするものがあります。エコラベル(環境ラベル)が付いている製品や、フェアトレード製品などがその例です。製品のパッケージや説明書きを見て、どのような配慮がされているか確認する習慣をつけると、選び方の幅が広がります。(エコラベルとは、製品やサービスが環境基準を満たしていることを示すマークのことです。)
4. 食材の買い方を見直す
食品ロスは世界的な課題であり、「つかう責任」において重要なポイントです。食材の買い物では、以下のようなことを意識してみましょう。
- 必要な量を把握する: 買い物に行く前に冷蔵庫の中を確認し、必要な量をメモするなど、使いきれる分だけを購入するように計画を立てましょう。
- 見た目が少し悪くても選ぶ: 形やサイズが不揃いなだけで品質には問題ない「規格外品」を積極的に選ぶことで、まだ食べられる食品が捨てられるのを減らすことにつながります。
- 地産地消を心がける: 地元で採れた旬の食材を選ぶことで、輸送にかかるエネルギーを減らし、地域の生産者を応援することにもなります。
5. 中古品やシェアリングサービスを活用する
全てのモノを新品で購入する必要はありません。状態の良い中古品を選んだり、必要な時だけモノや場所、スキルなどを共有するシェアリングサービス(例:カーシェア、レンタルサービス、フリマアプリなど)を利用したりすることも、「つかう責任」を果たす一つの方法です。モノを所有することから、必要な時にアクセスすることへ意識を転換することも、持続可能な消費につながります。
実践のポイントと行動の効果
これらのヒント全てを一度に始める必要はありません。まずは一つ、興味を持ったことから無理なく始めてみましょう。例えば、「買い物の前にメモをする習慣をつける」だけでも、食品ロス削減に繋がります。あるいは、「次に服を買うときは、長く着られるか考えてみる」といった小さな意識の変化から始めることができます。
このような「賢い買い物」を実践することは、私たち自身の暮らしの質を高めるだけでなく、次のような効果を通じてSDGs12の達成に貢献します。
- 資源の節約: 無駄な買い物を減らし、モノを長く使うことで、製品を作るために使われる資源(水、エネルギー、原材料)の消費を抑えることができます。
- ごみの削減: 不要なモノを買わない、モノを大切に使うことで、廃棄されるごみの量を減らすことができます。
- 持続可能な生産の促進: 環境や社会に配慮した製品を選ぶ消費者が増えることで、企業はより持続可能な方法でモノを作るようになります。
まとめ
「つかう責任」を意識した賢い買い物は、難しいことばかりではありません。少しの意識と工夫で、誰でも日常生活に取り入れることができます。今日ご紹介したヒントの中から、ぜひ試してみたいと思うものを選んで、小さな一歩を踏み出してみてください。
私たちの毎日の買い物が、地球の未来をつくる一歩につながっています。賢く買い物をすることで、自分自身の暮らしも豊かにしながら、持続可能な社会の実現に貢献していきましょう。