大切な人への贈り物とSDGs12:賢い選び方と贈り方
贈り物に「つかう責任」の視点を取り入れる
私たちは、誕生日や記念日、季節のご挨拶など、様々な機会に贈り物を贈ったり受け取ったりしています。贈り物を通じて、大切な人への感謝や思いを伝えることは、豊かな人間関係を築く上で非常に大切な文化です。
しかし、同時に、たくさんのモノが生産され、消費され、そして手放される過程には、地球の資源や環境、そして人々の暮らしに関わる様々な課題が潜んでいます。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、まさにこうした課題に対し、持続可能な消費と生産のパターンを確保することを目指しています。
贈り物を選ぶ、贈る、そして受け取るという行為にも、この「つかう責任」の視点を取り入れることができます。それは、単に環境に良いものを選ぶというだけでなく、贈る相手やその背景にある社会、そして未来の世代への配慮を含んだ、より豊かな贈り物の形と言えるでしょう。
この記事では、大切な人への贈り物を選ぶ際に役立つ、SDGs12の理念に基づいた具体的なヒントをご紹介します。
なぜ贈り物にSDGs12の視点が必要なのでしょうか
贈り物のために生産される製品には、原材料の調達、製造、輸送、包装、そして最終的に手放されるまでのライフサイクル全体で、環境への負荷や社会的な影響が発生します。例えば、
- 資源の消費: 新しいモノを作るためには、水、エネルギー、鉱物、森林などの天然資源が使われます。
- 廃棄物の発生: 過剰な包装や、不要になった贈り物が廃棄されることで、ごみ問題につながります。
- 生産背景: 製品が作られる過程で、労働者の人権が守られていなかったり、地域環境に悪影響を与えたりする可能性もゼロではありません。
- 大量生産・大量消費: トレンドを追った短命な製品は、すぐに使われなくなり、大量生産・大量消費のサイクルを加速させる可能性があります。
こうした背景を理解することで、私たちの贈り物の選択が、単なる個人的な行為を超えて、より大きな社会や環境のシステムと繋がっていることが見えてきます。
贈る側のヒント:責任ある選び方と贈り方
1. 選び方のヒント:モノの背景に目を向ける
贈るモノを選ぶ際に、少しだけ立ち止まって、その製品がどのように作られ、どこから来たのか、どのような影響を持つのかを考えてみましょう。
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環境負荷の少ない素材を選ぶ:
- 再生プラスチックやリサイクル素材を使った製品
- 認証を受けた持続可能な森林から得られた木材製品
- オーガニックコットンやヘンプなどの自然素材
- リサイクル可能な素材や分解されやすい素材
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フェアトレード製品や寄付付き商品を選ぶ:
- 開発途上国の生産者の労働条件や生活向上を支援するフェアトレード認証を受けたコーヒー、チョコレート、雑貨など。
- 購入金額の一部が特定の社会貢献活動や環境保全活動に寄付される商品。
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長く使える、修理可能な製品を選ぶ:
- 安価で壊れやすいものよりも、多少値が張っても品質が良く、長く使えるデザインのもの。
- メーカーが修理サービスを提供しているか、部品交換が可能かなど、アフターサービスも考慮する。
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不要にならない「体験」を贈る:
- モノとして残らない、レストランでの食事券、コンサートチケット、旅行、ワークショップ参加券など、相手の興味やライフスタイルに合わせた体験ギフトは、モノの消費を伴わず、思い出として心に残ります。
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地元の製品やハンドメイド品を選ぶ:
- 地域経済を活性化させ、輸送にかかる環境負荷を減らすことにつながります。作り手の顔が見えることで、より一層心を込めた贈り物になります。
2. 贈り方のヒント:包装や渡し方を工夫する
贈るモノを選んだら、次は渡し方です。ここにもSDGs12のヒントがあります。
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過剰な包装を避ける:
- デコレーション過多な包装は、ほとんどがすぐに捨てられてしまいます。必要最小限の包装にする、FSC認証(適切な森林管理がされている証明)の紙を使うなど工夫できます。
- 風呂敷を使う、贈るモノ自体が袋になるようなデザインを選ぶなど、包装材も再利用できる、あるいはそれ自体が贈り物の一部になるようなアイデアも有効です。
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デジタルギフト券やメッセージを検討する:
- 遠方に住む方への贈り物など、郵送にかかるエネルギーや資源を削減できます。
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贈り物の背景にあるストーリーを添える:
- 選んだ理由や、その製品がどのように環境や社会に配慮しているのかをメッセージカードに一言添えることで、贈る側の思いがより深く伝わり、受け取った側も「つかう責任」について考えるきっかけになるかもしれません。
もらう側のヒント:感謝と共に責任ある行動を
贈り物を受け取る側にも、「つかう責任」があります。それは、単に感謝を伝えるだけでなく、贈ってくれた人の気持ちと、モノが持つ背景に配慮することです。
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大切に使う:
- 壊れてもすぐに捨てずに修理したり、お手入れをしたりして、できるだけ長く愛用する。
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本当に必要か、手放すならどのようにするか考える:
- もし残念ながら自分のライフスタイルに合わない、あるいは既に持っているなどの理由で不要な場合は、すぐに捨ててしまうのではなく、必要な人に譲る(家族、友人、寄付)、リサイクルショップに売る、交換会に出すなど、次に活かせる方法を検討します。
- 正直に感謝を伝えつつ、今すぐに必要なものではないことを丁寧に伝えることも、不要なモノを増やさないためには必要なコミュニケーションかもしれません。
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贈り物の背景に関心を持つ:
- もし贈られた製品にSDGsに関連するような特徴(環境配慮素材、フェアトレードなど)がある場合は、それについて調べてみることで、贈る側の思いをより深く理解し、自身の「つかう責任」への意識も高まります。
コミュニケーションを通じて広がる「つかう責任」
贈り物を通じた「つかう責任」の実践は、贈る側と受け取る側の両方にとって、持続可能なライフスタイルについて考える良い機会となります。
特に、贈る側がなぜその贈り物を選んだのか(例: 「この製品は環境に優しい素材でできているんだ」「これは地域の障がい者施設で作られたものだよ」など)を言葉にすることで、相手との会話が生まれ、SDGs12への理解や関心を自然な形で広げることができます。
もちろん、こうした選択を相手に押し付けたり、プレッシャーをかけたりすることは避けるべきです。大切なのは、相手への感謝と思いやりの気持ちを第一に、無理のない範囲で、自分自身の選択に「つかう責任」の視点を取り入れてみることです。
まとめ
贈り物を選ぶ、贈る、そして受け取るという日常的な行為の中に、SDGs12「つくる責任 つかう責任」の理念を取り入れることは可能です。
環境負荷の少ない製品を選ぶ、過剰包装を避けるといった贈る側の工夫。そして、贈られたモノを大切に使い、不要な場合は次に活かす方法を考えるといった受け取る側の配慮。こうした一つひとつの小さな行動が、持続可能な社会の実現に繋がっていきます。
大切な人への感謝の気持ちを伝えながら、同時に地球や社会への責任も果たす。そんな心豊かな贈り物の実践を、今日から始めてみませんか。