サステナブルな暮らしのための、モノの手放し方ガイド
責任ある「手放し方」が、持続可能な社会をつくる
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な消費と生産のパターンを確立することを目指しています。これは、私たちがモノを「つかう」だけでなく、「つくり」、そして最終的に「手放す」までの全てのプロセスにおいて、環境や社会に配慮する責任があることを示しています。
特に、不要になったモノをどのように手放すかという点は、私たちの暮らしが環境に与える影響と深く関わっています。ただ捨ててしまえば、それはごみとなり、処理にエネルギーを使い、資源を浪費することにも繋がります。ここでは、サステナブルな暮らしを実現するために、モノを責任を持って手放すための具体的な方法と、その考え方をご紹介します。
なぜ「手放し方」に配慮する必要があるのか
私たちが普段の生活で不要になったモノを何気なく捨ててしまうことは、地球の資源に大きな負荷をかけています。
- ごみ問題の深刻化: 埋め立て地の容量不足や、焼却によるCO2排出など、ごみ処理は環境問題の大きな要因の一つです。
- 資源の枯渇: まだ使えるモノやリサイクルできるモノを捨ててしまうことは、限りある地球の資源を無駄にすることです。新しい製品を作るためには、再び資源を採掘し、加工する必要があり、ここでも環境負荷が発生します。
- 不法投棄: 適切でない方法でモノを手放すことは、地域の環境汚染に繋がる可能性もあります。
SDGs12の観点からは、「つかう責任」として、購入したモノの寿命が終わった後も、そのモノが環境になるべく負荷をかけない形で循環するよう配慮することが求められます。これは、次の「つくる責任」に繋がる資源を確保することでもあります。
不要になったモノを責任を持って手放すための具体的な方法
さて、具体的にどのような方法でモノを手放せば良いのでしょうか。いくつかの選択肢をご紹介します。
1. 誰かに「つかう」を引き継いでもらう(リユース)
まだ使える状態の良いモノは、誰かに使ってもらうのが最も望ましい方法です。
- 家族や友人に譲る: 身近な人で必要としている人がいないか尋ねてみるのが手軽な方法です。
- フリマアプリやネットオークションで売却する: スマートフォン一つで手軽に出品でき、次の使い手を見つけやすい方法です。価格は自分で設定できますが、やり取りの手間は発生します。
- リサイクルショップに持ち込む: 手間なく一度に複数のモノを見てもらうことができます。ただし、買い取り価格は低めになることが多いです。
- 地域のバザーやガレージセールに出品する: 地域コミュニティ内でモノを循環させる良い機会となります。
- NPOや支援団体に寄付する: 必要としている人々の元へ届けられる場合があります。ただし、どのようなモノを受け入れているか事前に確認が必要です。
リユースのポイント: モノの状態を正直に伝え、次に使う人が気持ちよく使えるように、簡単なクリーニングなどを行うと良いでしょう。
2. 資源として「つくり」に回す(リサイクル)
リユースが難しい場合でも、素材として再生可能なモノは適切にリサイクルに出しましょう。
- 自治体の分別回収を利用する: プラスチック製容器包装、古紙、ガラス、金属、ペットボトルなど、お住まいの地域の分別ルールに従って適切に分別し、指定された日に出します。分別ルールは地域によって異なるため、自治体のホームページなどで確認することが非常に重要です。
- 家電量販店やメーカーの回収プログラムを利用する: パソコンや小型家電、携帯電話などは、法律に基づきメーカーや販売店がリサイクル回収を行っています。家電量販店では、古い製品の買い替え時に下取りや有料回収を行っている場合もあります。
- 専門業者に引き取りを依頼する: 大型の家具や家電、特定の品目(例:バッテリーなど)は、専門の回収業者に依頼する必要があります。信頼できる業者を選ぶことが大切です。
リサイクルのポイント: 何がリサイクルできるか、どのように分別すれば良いかを正しく理解することから始まります。迷ったら自治体のルールを確認しましょう。
3. 責任ある方法で「処分」する
リユースもリサイクルも難しい場合は、自治体のルールに従って適切に処分します。
- 可燃ごみ・不燃ごみとして出す: 自治体の分別ルールで定められた方法に従って出します。
- 粗大ごみとして回収を依頼する: サイズが大きい家具などは、事前に自治体に申し込み、手数料を支払って回収してもらう必要があります。
処分のポイント: 不法投棄は絶対にせず、必ず自治体の定めたルールに従ってください。ルールを守ることが、環境負荷を最小限に抑えるための基本です。
行動がもたらす効果
私たちがモノを手放す際に少し手間をかけて、リユースやリサイクルを意識的に選ぶことには、以下のような大きな効果があります。
- ごみの減量: 最終的に埋め立てや焼却されるごみの量を減らすことができます。
- 資源の節約: 再生材の利用が増えることで、新たな資源の採掘や消費を抑えられます。
- エネルギーの節約: 新しいモノを一から作るよりも、リユースやリサイクルの方が製造にかかるエネルギーが少ない場合が多いです。
- 循環型社会の実現: モノが使い捨てられるのではなく、社会の中で循環する仕組みを支えることに繋がります。
これらの行動は、SDGs12が目指す「持続可能な消費と生産」のパターンを、私たち一人ひとりの暮らしの中で実践することに他なりません。
まとめ
不要になったモノをどうするかは、私たちの「つかう責任」の重要な一部です。ただ捨てるのではなく、リユースやリサイクル、そして適切な方法での処分を選ぶことで、環境負荷を減らし、限りある資源を有効活用することができます。
まずは、お住まいの地域のごみ分別ルールを確認することから始めてみましょう。そして、まだ使えるモノは「捨てる」以外の方法がないか考えてみてください。あなたの小さな選択が、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となります。この記事が、責任あるモノの手放し方を実践するヒントになれば幸いです。