サステナブルな暮らしへ:モノを修理して長く使うヒント
はじめに:モノを大切に、長く使うことの意義
私たちの周りには、様々なモノがあふれています。家電、家具、衣類、小物まで、私たちの生活を豊かにしてくれるこれらのモノは、使っていくうちに壊れたり、古くなったりすることもあります。壊れたらすぐに新しいものに買い替えるという選択肢もありますが、少し立ち止まって、「修理して長く使う」という選択肢を考えてみることは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を実践する上で非常に重要です。
この目標は、持続可能な消費と生産のパターンを確保することを目指しており、限りある資源を有効に使い、廃棄物を減らすことが求められています。モノを修理して長く使うことは、まさにこの理念に沿った行動と言えます。この記事では、なぜモノを修理して長く使うことが大切なのか、そしてどのようにすればそれが実践できるのか、具体的なヒントをご紹介します。
なぜ修理して長く使うことが大切なのか?
現代社会では、比較的安価な製品が多く流通し、流行のサイクルも速いため、モノが簡単に消費され、廃棄されやすい傾向にあります。しかし、新しい製品を一つ「つくる」ためには、多くの資源やエネルギーが使われ、製造過程で環境負荷が生じます。また、不要になったモノを「捨てる」際にも、埋め立てや焼却によって環境への影響が生じたり、貴重な資源が失われたりします。
モノを修理して長く使うことは、こうした「つくる」と「捨てる」の両方の側面で環境負荷を減らすことに繋がります。新しいモノの生産を抑制し、廃棄物の量を削減することができるため、地球の資源を守り、持続可能な社会の実現に貢献することができるのです。経済的なメリットはもちろんのこと、愛着のあるモノを修理して使い続けることには、精神的な豊かさも生まれます。
具体的な修理のヒント:何を、どうすればいい?
では、実際にモノが壊れたり、不調になったりした場合、どのように「修理して長く使う」ことを実践すれば良いのでしょうか。いくつかの具体的な方法をご紹介します。
1. まずは「修理できるか」を調べてみる
モノが壊れたとき、「もうダメだ」と諦める前に、まずは修理が可能かどうかを調べてみましょう。
- メーカーのサポート情報を確認する: 製品の取扱説明書やメーカーのウェブサイトには、よくある不具合の対処法や修理サービスに関する情報が掲載されていることが多いです。
- インターネットで検索する: 製品名と「修理方法」「故障」「トラブルシューティング」などのキーワードで検索すると、同じような状況になった人の解決策や、修理業者の情報が見つかることがあります。動画共有サイトには、特定の製品の分解方法や簡単な修理方法がアップされていることもあります。
- 保証書を確認する: 購入から間もない場合は、無償修理や交換の対象になる可能性があります。
2. 修理の依頼先を探す
自分で修理するのが難しい場合は、専門の業者に依頼することを検討します。
- メーカーの修理サービス: 品質や部品の供給面で安心感がありますが、費用が高めになる傾向があります。
- 街の修理専門店: 家電修理、靴修理、バッグ修理、洋服のお直しなど、様々な分野に専門の修理店があります。地域に根差したお店は、きめ細やかな対応をしてくれることも多いです。
- 総合的な修理サービス: 最近では、様々な種類のモノの修理を受け付けているサービスもあります。
- 地域の活動: 一部の地域では、住民が持ち寄った壊れたモノをボランティアで修理する「修理カフェ(リペアカフェ)」のような取り組みも行われています。こうした場所で、修理のヒントを得たり、簡単な修理をしてもらえたりすることもあります。
修理を依頼する際は、事前に見積もりを取り、費用と修理期間を確認することが大切です。修理費用が新品の購入価格と比べて高額になる場合は、慎重に検討が必要です。
3. 自分でできる簡単な修理やメンテナンスに挑戦する
ネジの緩みを締め直す、簡単な部品を交換する、掃除をする、といったメンテナンスや軽微な修理であれば、自分でできる場合もあります。
- 必要な工具を揃える: ドライバーセット、ペンチ、接着剤など、基本的な工具があると便利です。
- 修理キットの活用: 最近では、特定の製品や用途に特化した修理キットも販売されています。
- オンラインの情報活用: 前述のように、インターネット上には多くの修理情報や手順が公開されています。ただし、安全には十分注意し、感電の恐れがある電気製品などは無理せず専門家に任せましょう。
日頃から丁寧に使用し、定期的に手入れを行うことも、モノを長持ちさせる上で非常に効果的です。
4. 修理できない場合の選択肢を考える
残念ながら、修理が不可能な場合や、修理費用が現実的でない場合もあります。その場合でも、すぐに廃棄するのではなく、他の選択肢を検討します。
- リユース: まだ使える部分があるか、誰か他の人が活用できないかを考えます。フリマアプリや地域の譲渡会を利用したり、専門の買取業者や寄付団体に相談したりする方法があります。
- リサイクル: 素材ごとに適切に分別し、資源として再生できるようリサイクルに出します。自治体の分別ルールを確認しましょう。
修理・メンテナンスで得られる効果
モノを修理したり、メンテナンスしたりして長く使うことは、環境負荷の低減以外にも様々なメリットをもたらします。
- 経済的なメリット: 新しいモノを購入するより、修理の方が費用を抑えられる場合があります。
- 愛着の醸成: 手入れをしたり、修理したりすることで、そのモノに対する愛着が増し、大切にしようという気持ちが強くなります。
- 学びとスキル: 自分で修理に挑戦することは、新しい知識やスキルを身につける機会になります。
- 資源への意識向上: モノがどのように作られ、どれだけの資源が使われているかを知るきっかけとなり、普段の消費行動を見直すことに繋がります。
まとめ:修理可能な社会を目指して
モノを修理して長く使うという選択は、すぐに始められる身近なSDGsアクションの一つです。少しの手間や工夫で、お気に入りのモノを蘇らせ、使い続けることができます。これは、私たち一人ひとりが「つかう責任」を果たす具体的な行動であり、資源を大切にする持続可能な社会の実現に繋がります。
壊れたらすぐに諦めるのではなく、「修理できるかも?」と考えてみる習慣をつけましょう。そして、修理サービスを探したり、自分でできることに挑戦したりしてみてください。私たちの意識と行動の変化が、モノとの向き合い方、そして社会全体の消費と生産のあり方を変えていくことでしょう。