捨て方を考えるその先に：廃棄物を減らし、資源を未来へつなぐヒント
日常生活で「ごみ」について考える機会
私たちの暮らしからは毎日、様々なものが出てきます。その多くは「ごみ」として扱われ、自治体によって回収されていきます。しかし、これらの「ごみ」がどこへ行き、どのような影響を与えているのか、深く考える機会はあまりないかもしれません。
SDGs（持続可能な開発目標）の目標12「つくる責任 つかう責任」は、まさにこの問題に焦点を当てています。持続可能な消費と生産のパターンを確保することを目指すこの目標は、私たちが日々「つかう」もの、そしてそれが「ごみ」として排出された後にどうなるか、といったことに関わってきます。
この記事では、日常生活でできる廃棄物の削減と、出てしまったものを「ごみ」として終わらせずに「資源」として循環させるための具体的なヒントをご紹介します。少し視点を変えるだけで、日々の行動が持続可能な社会づくりに繋がっていくことを感じていただければ幸いです。
なぜ廃棄物削減と資源循環が重要なのでしょうか
私たちが排出する廃棄物の量は、世界的に見ても、そして日本国内でも依然として膨大な量に上ります。これらの廃棄物の多くは、焼却されたり埋め立てられたりしています。焼却の際には温室効果ガスが発生し、地球温暖化の一因となります。また、埋め立て地には限りがあり、土壌や地下水汚染のリスクも伴います。
一方で、私たちが捨てているものの中には、本来は資源として再び活用できるものがたくさん含まれています。使い捨てされるプラスチック製品や、まだ使えるのに捨てられてしまう衣類、そして適切に分別されればリサイクルできる紙やガラスなどです。
SDGs目標12は、単に環境負荷を減らすだけでなく、有限な地球の資源を大切に使い、将来世代も豊かな暮らしができるようにすることを目指しています。そのためには、まず廃棄物の発生を減らすこと（Reduce）、使えるものを繰り返し使うこと（Reuse）、そして資源として再生利用すること（Recycle）といった、いわゆる「3R」に加え、新たな価値を加えて生まれ変わらせる「アップサイクル（Upcycle）」といった取り組みが不可欠です。
日常で実践できる具体的なヒント
では、具体的にどのような行動が、「つかう責任」を果たし、廃棄物削減と資源循環に繋がるのでしょうか。無理なく始められることから取り組んでみましょう。
1. 「減らす（Reduce）」を意識する
- 買い物の際の選択: 過剰に包装された商品を避けたり、簡易包装のものを選んだりすることを意識します。量り売りを利用したり、詰め替え可能な製品を選んだりするのも有効です。
- マイバッグ・マイボトルの持参: レジ袋やペットボトルの使用を減らすことは、すぐに始められる行動です。
- 必要なものを必要なだけ買う: 食料品や日用品など、無駄な購入を減らすことが、そのまま廃棄物の削減に繋がります。
2. 「再利用する（Reuse）」工夫
- 繰り返し使えるものを選ぶ: 使い捨て製品ではなく、耐久性があり繰り返し使える製品（布巾、密閉容器など）を選びます。
- 不用品を譲る・売る: まだ使えるけれど自分には不要になったものは、フリマアプリや地域の施設などを活用して、必要としている人に譲ったり売ったりすることを検討します。
- 修理して長く使う: 洋服のほつれを直したり、家電の簡単な修理を試みたりすることで、製品寿命を延ばすことができます。これはモノを大切に使う「つかう責任」の基本的な実践です。
3. 正しく「再生利用する（Recycle）」
- 自治体のルールに沿った分別: 地域ごとに定められた分別のルールを守ることが、効率的なリサイクルに繋がります。プラスチック、紙、ガラス、缶など、素材ごとに正しく分けましょう。
- リサイクルしやすいものを選ぶ: 購入する際に、リサイクル表示を確認したり、リサイクルシステムが確立されている素材（例：PETボトル）のものを選んだりすることも、間接的な貢献になります。
4. 新しい価値を生み出す「アップサイクル（Upcycle）」
- 創造的な再利用: 捨てられるはずだったものに手を加えて、新しい用途の製品に生まれ変わらせることです。例えば、古いTシャツをエコバッグにしたり、空き瓶をインテリアとして活用したりするようなアイデアです。これは「つくる責任」の一部を、個人レベルで体験することにも繋がります。
小さな一歩がもたらす効果
これらの行動は、一つひとつは小さなことに思えるかもしれません。しかし、多くの人が取り組むことで、社会全体で排出される廃棄物の量を減らし、限りある資源を有効に活用することに繋がります。
- 環境負荷の低減: 廃棄物の焼却・埋め立て量の減少、資源採掘の抑制に貢献します。
- 経済的なメリット: 無駄な買い物を減らしたり、繰り返し使えるものを選んだりすることで、節約に繋がる場合もあります。
- 意識の変化: モノを大切にする意識、資源を意識する意識が育まれ、持続可能なライフスタイルへの関心が高まります。
- 社会への貢献実感: 自分の行動が環境や社会に良い影響を与えているという実感を得られます。
まとめ
「ごみ」と聞いて、単に捨てるものと捉えるだけでなく、そこに含まれる「資源」や、それまでの「つかう責任・つくる責任」について考えてみることは、持続可能な社会を目指す上で非常に重要です。
今回ご紹介した廃棄物削減と資源循環のためのヒントは、どれも今日から日常生活に取り入れられるものばかりです。完璧を目指す必要はありません。まずは一つ、関心を持った行動から始めてみてください。そして、その小さな一歩が、地球の未来、そして私たち自身の豊かな暮らしに繋がっていることを感じていただければ嬉しく思います。